一着の服が生まれる前に、ひとつの選択があります。
それは、どのような素材を選ぶのかということ。
普段何気なく身につけている衣服には、素材から始まるさまざまな工程と時間が込められています。
合成繊維、リサイクル合成繊維、コットン、そしてオーガニックコットン。
衣服に使われるこれらの素材には、それぞれ異なる特徴があります。
合成繊維は、軽さや扱いやすさ、優れた機能性によって、現代の衣服に欠かせない存在となってきました。
石油由来の素材であるため、衣服としての役割を終えた後も、自然に還りにくい性質があります。
リサイクル合成繊維は、すでに存在する素材に新たな役割を与え、廃棄を減らすための選択肢のひとつです。
ただ、合成繊維そのものの性質は変わらず、繰り返しの洗濯によるマイクロプラスチックの発生など、考え続けるべき課題も残されています。
コットンは、自然な風合いや心地よさによって、多くの人に親しまれてきました。
一般的なコットンでは、収穫量や生産効率を高めるため、遺伝子組み換え種子や化学肥料、農薬を用いた栽培が行われることがあります。
オーガニックコットンは、異なる考え方のもとで育てられる素材です。
土壌の健やかさを保ちながら、自然環境とのより良い関係を目指す農法によって生まれます。
素材の本質は、繊維そのものだけで決まるものではありません。
綿花がどのように育てられたのか。
どのように糸へと紡がれたのか。
どのような工程を経て、生地へと仕上げられていくのか。
そうした一つひとつの過程が、素材の風合いや、生地が持つ表情を少しずつ育てていきます。
だからこそ、GOTS認証は大切な意味を持ちます。
それは、栽培方法や加工工程、そして製造に関わる人々まで、素材がどのようにつくられてきたのかを知るためのひとつの手がかりです。
オーガニックコットンという選択には、服になる前から続く素材の歩みがあります。