SPARK
幼い頃、アニメのキャラクターのためにクチュールを描き、それぞれに名前をつけた。服が夢を運ぶものであることを知ったのは、その頃のことだ。
ランウェイを読み、ブランドの構造を読み解き、さまざまなスタイルに触れるうちに、自分の感覚はゆっくりと輪郭を持ちはじめた。
ミニマリズムに出会ってから、思考の流れは静かに変わっていった。不要なものをそぎ落とすほど、残るものだけが際立ってくる。何を選び、何を手放すのか。その問いだけが、時間のなかに積み重なっていった。
パリでの日々は、街を歩き、服に触れ、素材やシルエットを確かめ、店の人とことばを交わしながら、装いそのものを見つめる時間だった。ワードローブは少しずつ形を帯びていき、その過程のなかで、自分という存在もまた、ゆるやかに像を結んでいった。
ヨーロッパをひとりで旅するうちに、「軽く生きる」という感覚だけが、どこへ行っても残り続けた。それは東京での暮らしへとつながり、何もない部屋で、より少ないものと向き合う日常へと変わっていった。
理想の一枚を探すほどに、シンプルであることの難しさを知った。近づくたびに、欠けているものが見えてくる。出自の曖昧な素材、透明性のない工程、わずかな違和感。そのひとつひとつが、選択の基準をより確かなものへと変えていった。
一度そこから離れ、森を歩き、川辺に座り、行き先を持たない水鳥を眺め、波の音に耳を澄ませた。静けさのなかで、ゆっくりと整っていった。