SAVOIR-FAIRE
国を越え、展示会や工房を巡りながら、サンプルは何度も重ねられた。
近いと感じる素材はいくつもあったが、どれも最後の一線には届かなかった。
進める選択肢もあったが、そのまま進むことはなかった。
ポルトガルにたどり着くまでに、時間がかかった。
ポルトとブラガのあいだ、小さな工房。
70年以上の歴史を持ち、三代にわたり受け継がれている。
生地の在庫は持たない。
色や仕様に応じて、その都度だけ生産が行われる。
工程に余計な流れは入れない。
生地の無駄や倉庫でのエネルギー消費を抑えている。
一着ごとに手が入り、技と集中が重ねられていく。
衣服は時間の中で整えられ、構造と耐久性が形を持ちはじめる。
そこには、ものづくりへの敬意と、時間に対する静かな眼差しがある。
工房は主に太陽光エネルギーで稼働し、GOTS認証のもとで運営されている。
素材の安全性と製造の透明性は厳格に保たれ、公正な労働環境と平等な待遇、継続的な技術研修によって支えられている。
現在展開されているのは、2つのスタイルと2つの純粋な色のみ。
その明確さの中で、素材と構造、持続する美意識が形づくられていく。
最初のスケッチに描かれていた気配は、今のかたちへと続いている。